第11回 小沢 敦志展「熱体」イベント レポート
鉄という素材を専門に、鉄製品を加熱して叩くことによって作品を作り続けている小沢敦志を迎えて、6月13日(月)第11回食とアートの会がレストランアイで開催しました。
今回の展示のタイトルは「熱体」、松嶋啓介シェフとのトークテーマは「素材を味わう」でした。
鉄という素材には「冷たい」「人工的」というイメージが一般的だけど、道具として使用されていた工業製品を熱して叩くことで、鉄は「熱体」であり、地球の主成分であるため「自然」のものであるということを認識してほしい、と小沢自身がいうように、小沢の鉄作品には無機質な印象は少ない。
今回は小沢の初の試みとしての2次元的に平たくした鉄をフレーム化した作品、その鉄をカーボン紙でフロッタージュした作品、そして鉄製品を黒い塊になるまで折り曲げた作品の3つのタイプの作品が展示された。
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表現する上での人に伝えたいメッセージについて松嶋シェフが聞くと、生まれたばかりの赤ん坊も行う「叩く」という人間にとって最も単純な行為を通して、なるべくメッセージを込めないで素材と向き合い制作していると小沢は答えた。
意図的なメッセージ性の排除は小沢作品の根幹をなしているが、今回の作品の制作の途中で起きた東日本大震災に対しての無力感にも繋がったという。実際に被災地を訪れた松嶋シェフから、瓦礫を思わせるところもある小沢の作品に対して、東北地方の被災地における鉄のモニュメント作りのアイデアが出ると、小沢は被災地との関わりの1つとして実現に向けての強い意欲をみせた。
松嶋シェフからの「何を叩いてみたいですか?」という質問に対しての小沢の答えは、某スマートフォンだそうです。松嶋シェフによる提案は、多くの日本国民が叩きたいと同意するであろうモノであり、小沢さんも参加者も同意していた。
今回、サーブさせて頂いた白ワインはシャトー・ぺスキエさんの御提供によるviognierという品種による1000本限定ワイン。この春を祝う為の限定ボトルは、ミラノ在住の日本人作家、岡田昌子さんにデザインして頂きました。ちなみに、+ ART CLUBでは来年のボトルデザインも募集する予定です。
鉄の作家、小沢敦志にちなんで、レストランからは鉄分多めのメニューを提供させて頂きました。
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Text: 佃 義徳
Photo: キタムラ タマキ