第7回 イベント・レポート 「墨象作家 宮村 弦」
伝統的な書道家でありながら自らを墨象作家と名乗る宮村弦の作品が10月28日まで、原宿のRestaurant-I(レストラン・アイ)にて展示されています。
9月24日(金)、その宮村弦を迎え、第7回目となる「食とアートの会」が開催されました。5年連続でミシュランの星を獲得する若きシェフ松嶋啓介と宮村弦の対談は、分野は違えど伝統のある世界で新しいことを試みようとする者同士のコラボレーションは、参加者に多くの話題を提供しました。
「伝統を再定義」
今回の対談のテーマは「伝統を再定義」。フランス料理と書道、それぞれ伝統のある世界で各々に若くして伝統とは異なった方法を用いることを試みている2人にまさに共通しているテーマでの対談となりました。
「型を破り、自由にやるためには自分が自由にやりたいことをやるだけの表現力をつけて、発想も鍛えていかなければならない」と、松嶋シェフは言う。その台詞は、宮村弦の表現活動の適切な解説でもありました。
「色を塗り重ねる油絵と違い、筆による墨の濃淡によって、奥行きを表現するのは、ヨーロッパ人にはないアジア人特有の感覚であり、その感覚は料理の世界にも共通する」と松嶋シェフは言います。
「そうした感性はどのような分野でも世界に出たときに大きな武器になる」とも。
「フランス料理に日本酒」
今回の展示は「和」ということもあり、フランス料理に限らず様々な食と共に楽しめる日本酒、宝酒造さんの「白壁蔵」で乾杯をさせて頂きました。
フランス料理に日本酒は合うのか?ということも含め、書とアートについて、抽象と具象について、文字とその認識について、西洋的とは、東洋的とは・・・などなど、話題は尽きないまま、視覚的にも味覚的にも東洋と西洋、日本とフランスが混じり合ったような特別な夜になりました。
松嶋シェフ、宮村氏を中心に様々なコミュニケーションが生まれる会場内。
松嶋シェフ(左)と、墨象作家 宮村 弦氏(右)