第9回 食とアートの会 「春草 絵未」
*既に定員に達したため受付は終了させて頂きました。御予約頂きました方々ありがとうございました。現在はキャンセル待ちのみの受付となっております。
+ ART CLUBによるレストランアイでの第9回食とアートの会では、新作含む春草絵未の作品を展示いたします。
春草絵未の趣味は観葉植物を育てることであり、静的なその趣味の一方で、彼女の移動手段はバイクだという。
バイクというのは風景を風と共に感じる手段でもある。彼女の作品から伝わる静的なイメージとそれに対して風が通るような感覚は、彼女の日常のその2面性から来ているのかもしれない。
観葉植物のゆっくりとした変化に対する観察眼、同時に風と共に過ぎ去ってしまう風景、この2面性が春草の絵には存在している。
ナルシズム、自虐、そしてフェチシズムに陥りがちな具象絵画を、またデフォルメするわけでもなく春草は軽やかに乗り越えている。
「自分が風景となって、風景を見るようなそんな新鮮な視点を提案したい」と春草は言う
身近な風景と軽やかに戯れているような春草の絵、そこに起こりそうな風や空気を、「地産地消」で食材の生まれた空気を感じさせる松嶋啓介のフランス料理と共にお楽しみ頂けたら幸いです。
- Ohshima Fine Art Webサイトより -
白地の画面に、繊細な彩色でなにやら浮かんでいる。いつもは目にも留めない花や蟲や金魚などの小さな
存在や、TVアンテナや電線などがある。普段は、主役になれないものをメインに据えているのが印象的
である。
春草は、移動の手段にバイクを使っている。
本人の容姿や作品から受けるイメージとかけ離れているようだ。
人は誰でも二面性を持っているのが見受けられる。バイクの疾走感に対してゆったりとした時間が流れる作品、一見朗らかで和む画面に紛れるスパイスのあるモチーフ…。
両極に振れているものが、春草の表現にある。
バイクの楽しさは言うまでもなくその“自由さ”に尽きる。
2輪で動く車体は4輪より明らかに不安定だ。
自由という喜びを享受するには、何かしらのリスクを全面的に自分が引き受けて成り立つ。
作品上の浮遊感のある自由は、メッセージ性がないような表現というリスクと共存しているだろう。
そのことは作家にとってどちらでもよく、日々淡々と描き続けていくだけだ。
これらの創作は、春草が限りなく綴る抒情詩のようなものだから。
実際、春草は詩を書いたり、短歌を詠んだりもしている。
いわゆる脇役で、いたって地味にみえる色んなモノがこの世界を構成している。
取り立ててトピックスのない普通の日常が、自分の人生をカタチ作っていくのだ。
小さな一日一日の歴史は、ずっと積み重なっていく。あたかも、春草の作品が上下に左右に
拡がっていき、また、何も描かれていない空間がただそこに在る様に。